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2016年8月10日 創文社ショック

 ※下の記事「『「但馬国」出石の城を解剖する』(但馬歴史文化研究所編刊)の購入につきまして」もご覧ください。

 いやいや暑いですね。オリンピックでも続々メダル獲得の一報が届き、カヌーでも初の銅メダルです。おめでとうございます! 深夜から明け方に競技が行われますが、もうダウンしていますので、朝のニュースで確認です。

 さて、今日からは敬愛大学(千葉市稲毛区)で講座がございます。

 ところで、過日の新聞で、人文・社会系の学術出版社・創文社が4年後に廃業するとのことを知りました。日本中世史はあまりなじみがないですが、日本法制史ではすっかりおなじみです(東洋史、西洋史も強いです)。また、哲学や経済学などの学術書を多数出版しています。戦後まもなくにできた出版社ですから、もはや老舗と言えましょう。

 理由はというと、売り上げが年々下がっているからです。報道によると、10年前の3分の1しかないそうです。社員は6名とのことですが、売り上げの激減は厳しいところでしょう。一般的に会社は早めに整理したほうが、ほかの方に迷惑をかけないので良いとされています(最悪の場合、連鎖倒産があるので)。

 日本史の場合は「町の歴史家」がいるので、時代や分野にもよるのでしょうが、少し難しい本でも売れるのかもしれません。しかし、同じ歴史でも東洋史や西洋史になると、史料や論文の入手が困難になるので、「町の歴史家」はぐっと減ります。これが社会科学になると、大学などに所属する研究者はいても、「町の経済学者」はあまり聞いたことがありません。研究という意味では、かなり数が限定されるのかもしれません。哲学も同じでしょう。

 高度な内容の学術書は、数百部単位で刊行されます。それもごく一部の例を除けば、すぐにすべてが売れないので、何年もかけて売るわけです。それも昔は700~800冊が初版の刷り部数でしたが、今はその半分と聞いています。昔は300頁の専門書は、6,000円前後で買えましたが、今は10,000円前後です。刷り部数を減らせば、単価を上げざるを得ないのです。史料集はもっと刷り部数が少ないと思うので、1冊が20,000円近くするのも珍しくありません。

 歴史で言えば、昔は中学や高校の先生も岩波の講座日本歴史などを購入したり、関心ある分野の専門書は購入なさっていたようです。しかし、今やそんな方は少ないようです(非難しているわけではありません。人の自由ですから)。また、先述した「町の歴史家」も高齢化が進んでいます。一見すると、歴史ブームといわれますが、私自身はそうは思っていません。年々、右肩下がりのような印象を受けています。

 おおむね海外では、学術出版は大学の出版局(部)でしか成り立たないといわれています。遅まきながら、日本もそんな時代になったのかもしれません。私自身も自分の論文集は、自社でISBNを取得したので、自社生産になると思います。書店に流通させても意味がないので、すべてネットを通した通信販売ということになりましょう(図書館へはDMとか)。

 そんなことを考えつつ、盆もなく働きます・・・。
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プロフィール

渡邊大門(わたなべ だいもん)

  • Author:渡邊大門(わたなべ だいもん)
  • 1990年3月関西学院大学文学部史学科卒業
    2008年3月佛教大学大学院文学研究科博士後期課程修了 博士(文学)
    E-Mail:watanabe.daimon■peach.plala.or.jp(■=@)
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