2016年8月27・28日 風間トオル『ビンボー魂 おばあちゃんが遺してくれた生き抜く力』(中央公論新社)

 すっかり秋の様相ですが、また台風がやってくるようですな。用心、用心です。

 先日、図書館から借り出して読んだのが表題の本。昔、ある高名な先生から、福沢諭吉、J.S.ミルなどの自伝を読むように、とよくアドバイスをされました。むろん、ほかにもありますが、人生の成功者の言葉には、示唆に富むものがあると思います。最近で言うと、日本経済新聞社の「私の履歴書」などは、その一つに数えられます。ビジネスマンの愛読書と言えましょう。

 ところで、自伝を史料として使用する場合、いささかの注意が必要です。以下、問題点を列挙しましょう。

・本人の勘違い、記憶違いがあるかもしれないこと。

・良いところは強調して書くが、悪いところはあえて書かないとか。

・事実を改竄して書いていることがある。

 しょせんは人間のすることなので、完璧なものでないのは仕方がなく、ほかの史料との突き合わせは必要であるように思います。聞き取り(オーラル・ヒストリー)も同様で、都合の悪いことは忘れたとか、急に黙り込むとか、急に怒り出すとか、そういうことは特段珍しくないようですね。人間ですからいたしかたありません。

 著者の風間トオルさんといえば、われわれ世代では著名なモデル、そしてトレンディ俳優(死語ですな)の一人として有名です。当然、良いとこのお坊ちゃんと思っていました。数年前でしょうか、「徹子の部屋」で貧乏だったことを語ったのを最初として、以後はテレビのバラエティー番組で、積極的に発言することになりました。ことの詳細は本書を読んでいただくとして、驚きの連続で、まさしく「人に歴史あり」と思いました。

 歴史の勉強をしておりますと、「~体制」「~論」だとか、マクロな視点が重要であるとは思います。あるいは、個々の国衆などの来歴を詳細に調べたり、花押の形がどう変化していくかなども重要でしょう。しかしながら、人は歴史理論のなかに生きているのではないことを実感します。生身の人間には、一人ひとり歴史があるのだと実感しました。

 偉人の自伝も結構ですが、この本もお勧めです。ちなみに、宮脇健一さんの『名子役の虚構 ケンちゃんの真実』(バラス、1997年)、『ケンちゃんの101回信じてよかった』(講談社、2004年)も強くお勧めします。
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プロフィール

渡邊大門(わたなべ だいもん)

  • Author:渡邊大門(わたなべ だいもん)
  • 1990年3月関西学院大学文学部史学科卒業
    2008年3月佛教大学大学院文学研究科博士後期課程修了 博士(文学)
    E-Mail:watanabe.daimon■peach.plala.or.jp(■=@)
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