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赤松氏研究

 赤松氏研究の先達と言えば、高坂好先生と水野恭一郎先生である。1960年代以降の話である。

 高坂先生は東京帝国大学の出身で、卒業論文のテーマは矢野荘だった。鹿児島で旧制中学の教員をしていたが、のちに兵庫県に戻り実業家として活躍。以後、赤松氏研究に打ち込んだ。主に『兵庫史学』(今はもうない)を舞台にして執筆し、吉川弘文館の『赤松円心・満祐』が代表作である。

 ただ、高坂先生の研究を見ると、ほとんど先行研究を取り上げない。水野先生と同時代に活躍したのだが、誠に不思議なことである。むろん赤松氏の先行研究だけでなく、当時の守護領国制や国人領主制などの話も出てこない。ただ、嘉吉の乱で一次史料を用いて叙述した点は、高く評価される。

 一方の水野先生も同様で、先行研究をほとんど挙げない。高坂先生の論文も出てこないし、守護領国制や国人領主制などの話もほとんど出てこない。ただ、一次史料を用いて、赤松氏や浦上氏を丁寧にたどった点は、高く評価される。水野先生は京都帝国大学の出身で、岡山大学、佛教大学の教授を務めた。

 なぜ、二人が先行研究をほとんど取り上げないのか、まったく理解に苦しむ。赤松氏の学術論文は、岸田裕之先生の登場を待たなくてはならない。しかし、岸田先生は大名領国制を追究するなかで、赤松氏を素材にしたにすぎず、別に赤松氏研究専門ではない。
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プロフィール

渡邊大門(わたなべ だいもん)

  • Author:渡邊大門(わたなべ だいもん)
  • 1990年3月関西学院大学文学部史学科卒業
    2008年3月佛教大学大学院文学研究科博士後期課程修了 博士(文学)
    E-Mail:watanabe.daimon■peach.plala.or.jp(■=@)
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