2014年11月28日 地方は再生するか
晴れ。さあ、今日もがんばろう! また、いろいろと話が転がりだし、何かと忙しくなってきた。
今回の総選挙の目玉の一つが、地方再生(創生?)である。私は、都会(京都、市川)にも地方(三木、津山)にも住んでいたので、ちょっと感想を述べておきたいと思う。
今、住んでいる市川市は、財政状況が極めてよい。公務員の給与水準も、お隣の船橋市と並び、全国でもトップクラスである(毎年、少しずつ減らしているようだが)。それでも、年々少しずつ公務員の数は減っており、改革に余念がない。隣がすぐ東京なので、通学・通勤にも便利だし、何一つ不自由はない(カネがあればもっと良いのだが)。市川市の場合、電車、バスの交通網も非常に発達している。
ところが、地方は違う。
何が違うかと言えば、おおむね周知のことであるが、下記のとおりである。
・仕事(または産業)がない。
・若者が少なく、老人が多い。
・就労人口と企業が少ないので、税収が少ない。
・交通の便が悪い。移動が面倒。
・モノが高い。
・遊ぶところがない。
挙げたらキリがないが、マイナス面が大きい。ただ、たいていの場合、自然が豊かである。また、土地は安い。
田舎は物価が安いと思われがちだが、そうでもない、むしろ、高コストである。私もかつて実感したのだが、役所や大学などは、地縁・血縁(あるいは地元の応援目的)の関係からか、わざわざ地元でさまざまな物資を調達することになる。たとえば、名刺は通信販売(ネットで注文)なら、100枚で500円(郵送料込)で購入できるが、地元の印刷屋を使うので、軽く3~4倍程度はかかってしまう。名刺くらいなら良いのだが、ほとんどがそうである。
しかし、地元に注文しないと、文句を言われるので、そうするしかない。役所などは、税収不足で節約しなくてはならないのだが、地元に配慮して高コスト体質にならざるを得ない。私がかつて都会の安い印刷屋を探し(「学生便覧」の印刷)、地元より3~4分の1の経費に押さえたが、すごい文句を言われた。「余計なことするな」と。まあ、地元からすれば、そんなものである。この点は矛盾である。
要は、田舎の業者には、都会との競争力がないのだ。それは、値段だけでなく、技術力もそうだ。
前に新聞を読んでいると、「輸入県」という言葉があった。要は、何をするにも県内の業者では技術力などがないので、都会の業者を使わざるを得ない。したがって、地元にカネを落とそうとしても、落とせないということだ。かつて、ある史料集を購入したとき、ワードか何かで作ったものを印刷した本があったが、文字の高さはガタガタだし、製本も良くないなと思ったが、おそらく技術力のない地元の印刷屋を使わざるを得なかったという事情があったのだろう。
・仕事が少ない → 若者が減る
・老人が多い → 医療費などの増大
・電車・バスの利用者が少ない → 運行回数の減少または廃止
つまり、田舎は「負のスパイラル」に入っていくのだが、これを再生させるのは至難の技だ。わずかな成功例を挙げて、「お前たちも知恵を出せ」というのは酷であろう。それゆえ、田舎の自治体は「陳情」ということで、政府に交渉し「補助金」などを要求する。それも限界だろう。
↑あくまで個人の感想であって、誰がどこに住もうが勝手であって、本人が快適だと思えば、それはそれで結構なことなので、誤解がないようにお願いします。私の親も喜んで住んでいます。
私は歴史を勉強しているので、こんなことを言ったら怒られるかもしれないが、財政が厳しいといいながらも、気前良く博物館、美術館、図書館を新しく建設したり、誰も読まないような豪華な自治体史を刊行するところがあるのだが、もう曲がり角に来ているのだろう。「止めろ」とは言わないが(私はその自治体とは関係ないので)、創意工夫が必要だ。
一生活者になると、自治体史刊行の予算には、驚きを禁じ得ない。普通、自治体史は本文編と史料編で5~10冊程度になる。値段も1冊あたり5,000円前後になる。高い。しかし、出版社が刊行する専門書や史料集は、7・8,000円~1万円台後半くらいするので安いともいえるが、それは自治体が原価に近い額で売っているからだろう。その差額は税金だ。
古代の通史は同一県内ならば、市町村レベルではさほど変わりはない(中世も)。また、古代・中世史料編は、県史の史料編が刊行されていれば、市町村レベルでは重複していることがほとんどだ(近世以降はキリがない)。
個人的には、次のようにしてはどうかと思っている。
・もう自治体史の刊行は止める(都道府県レベルは除く)。出しても、1冊で収まるようなコンパクトなものにする。
・広報誌にわかりやすい読み物を連載し、連載終了後に安価で本として刊行する。
・同時に最新の成果を提供すべく『~市の歴史』のような専門誌を年1回程度刊行し、印刷製本するのでなく、PDFで提供する(無駄な在庫を抱えない)。
・史料集などの刊行も随時行い、PDFか簡易印刷で我慢する。
今でも予算の削減は続いているが、自治体史刊行の問題は刊行後に継続性がないことだ。編纂室が閉じられ、継続性が担保されないことが多い。自治体史の在庫が倉庫に山ほどあって、頭を抱えているところも少なくない。経費の無駄を避けながら、細く長く継続的に続けることが重要と思うのだが・・・。要は、従来型の「豪華版」という考え方は捨てるべきだろう。
↑ 別に自治体史を刊行するのは自由で、私の私見ですので、適当に無視してください。
今回の総選挙の目玉の一つが、地方再生(創生?)である。私は、都会(京都、市川)にも地方(三木、津山)にも住んでいたので、ちょっと感想を述べておきたいと思う。
今、住んでいる市川市は、財政状況が極めてよい。公務員の給与水準も、お隣の船橋市と並び、全国でもトップクラスである(毎年、少しずつ減らしているようだが)。それでも、年々少しずつ公務員の数は減っており、改革に余念がない。隣がすぐ東京なので、通学・通勤にも便利だし、何一つ不自由はない(カネがあればもっと良いのだが)。市川市の場合、電車、バスの交通網も非常に発達している。
ところが、地方は違う。
何が違うかと言えば、おおむね周知のことであるが、下記のとおりである。
・仕事(または産業)がない。
・若者が少なく、老人が多い。
・就労人口と企業が少ないので、税収が少ない。
・交通の便が悪い。移動が面倒。
・モノが高い。
・遊ぶところがない。
挙げたらキリがないが、マイナス面が大きい。ただ、たいていの場合、自然が豊かである。また、土地は安い。
田舎は物価が安いと思われがちだが、そうでもない、むしろ、高コストである。私もかつて実感したのだが、役所や大学などは、地縁・血縁(あるいは地元の応援目的)の関係からか、わざわざ地元でさまざまな物資を調達することになる。たとえば、名刺は通信販売(ネットで注文)なら、100枚で500円(郵送料込)で購入できるが、地元の印刷屋を使うので、軽く3~4倍程度はかかってしまう。名刺くらいなら良いのだが、ほとんどがそうである。
しかし、地元に注文しないと、文句を言われるので、そうするしかない。役所などは、税収不足で節約しなくてはならないのだが、地元に配慮して高コスト体質にならざるを得ない。私がかつて都会の安い印刷屋を探し(「学生便覧」の印刷)、地元より3~4分の1の経費に押さえたが、すごい文句を言われた。「余計なことするな」と。まあ、地元からすれば、そんなものである。この点は矛盾である。
要は、田舎の業者には、都会との競争力がないのだ。それは、値段だけでなく、技術力もそうだ。
前に新聞を読んでいると、「輸入県」という言葉があった。要は、何をするにも県内の業者では技術力などがないので、都会の業者を使わざるを得ない。したがって、地元にカネを落とそうとしても、落とせないということだ。かつて、ある史料集を購入したとき、ワードか何かで作ったものを印刷した本があったが、文字の高さはガタガタだし、製本も良くないなと思ったが、おそらく技術力のない地元の印刷屋を使わざるを得なかったという事情があったのだろう。
・仕事が少ない → 若者が減る
・老人が多い → 医療費などの増大
・電車・バスの利用者が少ない → 運行回数の減少または廃止
つまり、田舎は「負のスパイラル」に入っていくのだが、これを再生させるのは至難の技だ。わずかな成功例を挙げて、「お前たちも知恵を出せ」というのは酷であろう。それゆえ、田舎の自治体は「陳情」ということで、政府に交渉し「補助金」などを要求する。それも限界だろう。
↑あくまで個人の感想であって、誰がどこに住もうが勝手であって、本人が快適だと思えば、それはそれで結構なことなので、誤解がないようにお願いします。私の親も喜んで住んでいます。
私は歴史を勉強しているので、こんなことを言ったら怒られるかもしれないが、財政が厳しいといいながらも、気前良く博物館、美術館、図書館を新しく建設したり、誰も読まないような豪華な自治体史を刊行するところがあるのだが、もう曲がり角に来ているのだろう。「止めろ」とは言わないが(私はその自治体とは関係ないので)、創意工夫が必要だ。
一生活者になると、自治体史刊行の予算には、驚きを禁じ得ない。普通、自治体史は本文編と史料編で5~10冊程度になる。値段も1冊あたり5,000円前後になる。高い。しかし、出版社が刊行する専門書や史料集は、7・8,000円~1万円台後半くらいするので安いともいえるが、それは自治体が原価に近い額で売っているからだろう。その差額は税金だ。
古代の通史は同一県内ならば、市町村レベルではさほど変わりはない(中世も)。また、古代・中世史料編は、県史の史料編が刊行されていれば、市町村レベルでは重複していることがほとんどだ(近世以降はキリがない)。
個人的には、次のようにしてはどうかと思っている。
・もう自治体史の刊行は止める(都道府県レベルは除く)。出しても、1冊で収まるようなコンパクトなものにする。
・広報誌にわかりやすい読み物を連載し、連載終了後に安価で本として刊行する。
・同時に最新の成果を提供すべく『~市の歴史』のような専門誌を年1回程度刊行し、印刷製本するのでなく、PDFで提供する(無駄な在庫を抱えない)。
・史料集などの刊行も随時行い、PDFか簡易印刷で我慢する。
今でも予算の削減は続いているが、自治体史刊行の問題は刊行後に継続性がないことだ。編纂室が閉じられ、継続性が担保されないことが多い。自治体史の在庫が倉庫に山ほどあって、頭を抱えているところも少なくない。経費の無駄を避けながら、細く長く継続的に続けることが重要と思うのだが・・・。要は、従来型の「豪華版」という考え方は捨てるべきだろう。
↑ 別に自治体史を刊行するのは自由で、私の私見ですので、適当に無視してください。
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