2015年7月3日 拙著『人身売買・奴隷・拉致の日本史』『戦国の貧乏天皇』『逃げる公家、媚びる公家―戦国時代の貧しい貴族たち―』(以上、柏書房刊行)につきまして
雨。来週あたりまで、ずっと雨が続くそうです。寒くなったり、ムシムシしたりしますので、体調管理にお気を付けください。
さて、今日はいつもお世話になっている柏書房様から刊行いただいた、『人身売買・奴隷・拉致の日本史』『戦国の貧乏天皇』『逃げる公家、媚びる公家―戦国時代の貧しい貴族たち―』(以上、柏書房刊行)について書いてみたいと思います。
戦国時代に関する一般書は数多ありますが、誤解を恐れずに言いますと、戦国武将の生涯に関するもの、合戦に関するものが圧倒的であると思います。まさしく「戦い」こそが、戦国時代の本質といえましょう。しかしながら、これも誤解を恐れずに言うならば、戦国武将の生涯にしても、合戦の経過にしても、事実関係の大半は確定しています。新たな研究や史料により、細かい修正や新発見はあっても、大筋は変わらないといえるかもしれません。
ということから、柏書房の編集者様とは、上記のテーマをできるだけ避け、「多少マニアックでニッチな分野」で書こうと話し合いました。その結果生み出されたのが、『人身売買・奴隷・拉致の日本史』『戦国の貧乏天皇』『逃げる公家、媚びる公家―戦国時代の貧しい貴族たち―』(以上、柏書房刊行)の三著です。いすれもユニークなテーマです。
『人身売買・奴隷・拉致の日本史』(柏書房)は、文字通り人身売買・奴隷・拉致の実態について、古代から近世初期を中心にしてまとめた本です。この分野の研究に関しては、牧英正先生を中心にして、多くの研究があるのですが、専門書や研究論文の類が圧倒的に多く、一般書の類書は乏しいといえます。本書はそうした研究をもとにして、できるだけわかりやすく解説に努めました。
目次 第1章 奴隷・人身売買の黎明
第2章 室町・戦国時代の人身売買
第3章 世界を駆けめぐった日本人奴隷
第4章 文禄・慶長の役と拉致
『戦国の貧乏天皇』(柏書房)は、おおむね応仁・文明の乱以降から織田信長が登場する前までを扱っていますが、本当に類書が乏しいと思います。天皇の実態については、古代がもっと盛んであり、中世は平安末期~鎌倉初期の後白河、後鳥羽、あるいは南北朝期の後醍醐にほぼ限られているように思います。興味深いエピソードを多々書いていますので、楽しく読めると思います。
目次 第1章 窮乏する室町期の天皇
第2章 葬儀すらできなかった後土御門天皇
第3章 即位式もやってもらえない後柏原天皇
第4章 官位を売って生活費を稼ぐ後奈良天皇
第5章 天皇はなぜ生き残ったか
『逃げる公家、媚びる公家―戦国時代の貧しい貴族たち―』(柏書房)も『戦国の貧乏天皇』と同じく、戦国時代に埋没して、実態が知られることが少ない公家を取り上げています。豊富な事例を分析して、いかにして公家が生き延びるために苦労したのかを詳細に解説しています。こちらも類書が非常に乏しいと思います。
目次 序 章 公家と武家
第1章 厳しい公家の生活(一条兼良、三条西実隆)
第2章 地方に下る公家たち(冷泉為広、清原宣賢)
第3章 勤めを果たさない公家たち(橋本公夏、柳原資綱・量光父子、冷泉為純)
第4章 戦国大名と公家との婚姻関係(今川氏親、武田信玄、豊臣秀次)
第5章 天下人との狭間で(織田信長、豊臣秀吉)
第6章 公家たちのその後(西園寺公望、近衛文麿ほか)
以上の三著は読み物としても興味深く、難解な用語には簡潔に解説を加え、史料は現代語訳にするなど、読みやすくなる工夫をしています。何よりも、「戦国史のエアポケット」を知るうえで数少ない入門書の一つですので、ぜひ書店で手に取っていただけると幸いです。よろしくお願いします。
※拙編『真実の戦国時代』(柏書房)もよろしくお願いします。
さて、今日はいつもお世話になっている柏書房様から刊行いただいた、『人身売買・奴隷・拉致の日本史』『戦国の貧乏天皇』『逃げる公家、媚びる公家―戦国時代の貧しい貴族たち―』(以上、柏書房刊行)について書いてみたいと思います。
戦国時代に関する一般書は数多ありますが、誤解を恐れずに言いますと、戦国武将の生涯に関するもの、合戦に関するものが圧倒的であると思います。まさしく「戦い」こそが、戦国時代の本質といえましょう。しかしながら、これも誤解を恐れずに言うならば、戦国武将の生涯にしても、合戦の経過にしても、事実関係の大半は確定しています。新たな研究や史料により、細かい修正や新発見はあっても、大筋は変わらないといえるかもしれません。
ということから、柏書房の編集者様とは、上記のテーマをできるだけ避け、「多少マニアックでニッチな分野」で書こうと話し合いました。その結果生み出されたのが、『人身売買・奴隷・拉致の日本史』『戦国の貧乏天皇』『逃げる公家、媚びる公家―戦国時代の貧しい貴族たち―』(以上、柏書房刊行)の三著です。いすれもユニークなテーマです。
『人身売買・奴隷・拉致の日本史』(柏書房)は、文字通り人身売買・奴隷・拉致の実態について、古代から近世初期を中心にしてまとめた本です。この分野の研究に関しては、牧英正先生を中心にして、多くの研究があるのですが、専門書や研究論文の類が圧倒的に多く、一般書の類書は乏しいといえます。本書はそうした研究をもとにして、できるだけわかりやすく解説に努めました。
目次 第1章 奴隷・人身売買の黎明
第2章 室町・戦国時代の人身売買
第3章 世界を駆けめぐった日本人奴隷
第4章 文禄・慶長の役と拉致
『戦国の貧乏天皇』(柏書房)は、おおむね応仁・文明の乱以降から織田信長が登場する前までを扱っていますが、本当に類書が乏しいと思います。天皇の実態については、古代がもっと盛んであり、中世は平安末期~鎌倉初期の後白河、後鳥羽、あるいは南北朝期の後醍醐にほぼ限られているように思います。興味深いエピソードを多々書いていますので、楽しく読めると思います。
目次 第1章 窮乏する室町期の天皇
第2章 葬儀すらできなかった後土御門天皇
第3章 即位式もやってもらえない後柏原天皇
第4章 官位を売って生活費を稼ぐ後奈良天皇
第5章 天皇はなぜ生き残ったか
『逃げる公家、媚びる公家―戦国時代の貧しい貴族たち―』(柏書房)も『戦国の貧乏天皇』と同じく、戦国時代に埋没して、実態が知られることが少ない公家を取り上げています。豊富な事例を分析して、いかにして公家が生き延びるために苦労したのかを詳細に解説しています。こちらも類書が非常に乏しいと思います。
目次 序 章 公家と武家
第1章 厳しい公家の生活(一条兼良、三条西実隆)
第2章 地方に下る公家たち(冷泉為広、清原宣賢)
第3章 勤めを果たさない公家たち(橋本公夏、柳原資綱・量光父子、冷泉為純)
第4章 戦国大名と公家との婚姻関係(今川氏親、武田信玄、豊臣秀次)
第5章 天下人との狭間で(織田信長、豊臣秀吉)
第6章 公家たちのその後(西園寺公望、近衛文麿ほか)
以上の三著は読み物としても興味深く、難解な用語には簡潔に解説を加え、史料は現代語訳にするなど、読みやすくなる工夫をしています。何よりも、「戦国史のエアポケット」を知るうえで数少ない入門書の一つですので、ぜひ書店で手に取っていただけると幸いです。よろしくお願いします。
※拙編『真実の戦国時代』(柏書房)もよろしくお願いします。
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